病院・福祉施設のBCP

災害拠点病院に対してBCP策定を義務化

厚生労働省は、2011年の東北大震災を受けて、災害拠点病院の指定要件を強化し、さらに2016年の熊本地震の発生により指定要件の追加を行い、災害拠点病院にBCPの策定を義務づけました。

災害拠点病院の指定要件

背景1.熊本地震による医療機関の被害

熊本地震では、多くの医療機関が被害を蒙りました。
特に、市内中心地にあって災害拠点病院でもあった熊本市民病院が、大きな損壊によって機能不全に陥り、すべての入院患者を転送しなければならない事態に陥ったことは、衝撃的な出来事でした。

熊本県内に位置する医療機関の被害状況は、次の通りです。

全医療機関(病院・診療所・歯科診療所)2,530施設中、
建物や医療機器の被害 1,282施設(50.6%)

転院を強いられた患者数 1,625人
退院した患者数     1,287人  (熊本県調査)

背景2.熊本地震による多数の死亡者

直接死           50人
災害関連死         167人

熊本地震では、217名の尊い命が失われました。
また、直接死と災害関連死の数を比較すると、災害関連死の多さが際立っています。このなかには、転院によって亡くなられた方や、慢性病に対して十分な医療が受けられなかったために亡くなられた方が含まれています。

よって、医療機関のBCPには次の2点が重要であり、これらを踏まえた計画策定が必要となります。

1.災害発生というと、大けがやそれに伴う手術需要などをすぐに思い浮かべますが、実態は、病院間でのカルテ情報を伴う患者の転送や、慢性病を患っておられる方々のケアが重要な業務であることは、医師や、避難所を巡回した看護師や保健師などの証言からも明らかです。

2.病院施設の損壊や、停電、断水など、危急の事態には入院患者の転送が必要になります。普段から地域医療機関との連携を深めながら、そのうえで、地域連携BCPを策定しておくことも有効です。

医療機関と一般企業の違い

下の図に見るように、災害発生時の病院の業務レベルは、一般企業に比べて一気に高くなります。
したがって、災害発生時にその対応を考えるのではなく、手術の最大能力や、平時に比べて何倍の入院患者の受入れが可能か、などを日頃からシミュレーションしておく必要があります。
医療機関のBCPは、有事の際、その機能を最大限発揮させるとともに、地域住民の命を守り、健康を維持していくことに大きく貢献します。

ご提案:まず、災害対応マニュアルの見直しから

医療機関では、発災時の業務量が増大するため、初動の災害対応マニュアルが重要で、その有効性を検証するための机上テストや実働訓練も欠かすことができません。

厚生労働省が推奨している「BCPの考え方に基づいた災害対応マニュアル(2015)」の作成には、イギリスの災害対応教育コースで提唱されているCSCATTTを組み込むことが重要です。

当社は、地域の防災計画とリスクチェック表に基づいて、ビジネス・インパクト分析を行い、CSCATTT原則に準拠して、貴院の災害対応マニュアルをチェックし、改善点をご提案します。

CSCATTT